宿しごと研究所YADOSHIGOTO LAB
記事一覧へ
採用実務

特定技能「宿泊」の試験日程と申し込み。2026年度の受験料、内容、合格後の流れ

外国人スタッフを特定技能で採ると決めた宿が、最初に確かめたくなるのは、候補者がいつ試験を受けられて、いつから働けるのかです。宿泊分野の評価試験は、いまはコンピューターで受ける方式(CBT)になり、2026年度はほぼ通年で開かれています。ただ、予約とキャンセルの決まりは細かく、合格してから入社までにも3か月ほどかかります。この記事では、2026年10月16日時点の一次情報をもとに、試験の日程と申し込み、試験の中身、合格から入社までの段取りを、宿の人事の目線で順に整理します。

旅館の事務所の机に、試験の日程を開いたノートパソコン、学習用のテキスト、湯のみが置かれ、壁には印を付けたカレンダーが掛かっている様子のイラスト

宿の採用担当から見ると、評価試験は「候補者が受けるもの」で、自分の仕事とは少し距離があるように見えます。けれど実際には、いつ受けてもらうかで入社日が決まります。不合格なら次に受けられるのは45日後で、入社もそのぶん後ろにずれます。合格証明書は内定を出した企業が申請しないと発行されず、発行手数料は企業が払ってもかまいません。試験を受けるのは本人ですが、段取りの半分は宿の側にあります。

この記事のポイント

  • 2026年度の評価試験は、1号、2号とも2026年4月30日から2027年3月10日まで、ほぼ通年で実施されています。予約の受付は2027年3月5日までです。
  • 予約は試験日の59日前から3営業日前の23時59分まで。キャンセルはできず、受験料は返ってきません。不合格なら、再受験は受験日から45日たってからです。
  • 受験料は日本国内で1号7,700円、2号15,000円。合格後に、合格証明書の発行手数料12,100円が別にかかります。
  • 合格基準は学科と実技それぞれ正答率65%以上。2025年度の1号の合格率は全体で66.5%、日本国内の会場では62.3%でした。
  • 合格証明書の有効期限は、2026年4月30日の受験分から10年が5年に短くなりました。

2026年度は「第何回」がなく、ほぼ通年で受けられる

以前の評価試験を知っている人ほど、「次の試験はいつか」と回で考えがちです。いまの宿泊分野の評価試験は、試験会場を運営するプロメトリックのCBTで行われ、決まった回はありません。プロメトリックの試験ページによると、2026年度の試験実施期間は2026年4月10日から16日と、4月30日から2027年3月10日まで。予約の受付は2026年4月20日から2027年3月5日までです(4月10日から16日の試験分は別の受付)。1号と2号は同じ期間です。

国内の会場は札幌から九州まで各地にあり、会場ごとに開催日が違います。日ごとの空きは、プロメトリックの「日本国内の開催日程」で確かめられます。観光庁の実施要領は、国内試験を毎月実施すると定めています。国外の開催国は、インド、インドネシア、ネパール、フィリピン、スリランカ、ミャンマー、ベトナム、タイの8か国です。

項目1号評価試験2号評価試験
試験実施期間(2026年度)2026年4月30日〜2027年3月10日同じ
予約の受付2027年3月5日まで同じ
方式CBT(プロメトリックの会場)CBT(プロメトリックの会場)
問題数学科30問、実技6問(3択)学科50問、実技20問(4択)
試験時間60分60分
受験料(日本国内)7,700円15,000円
合格基準学科、実技それぞれ正答率65%以上同じ

(プロメトリック「宿泊分野特定技能1号評価試験」「同2号評価試験」「国別受験料金」、観光庁の実施要領より作成。2026年10月16日時点)

一つ気をつけたいのは、年度の変わり目です。実施要領は、翌年度のスケジュールを当年度の9月末までに決めて公表するとしています。ところが2026年10月16日の時点で、宿泊業技能試験センター(CAIPT)とプロメトリックのページに、2027年度の日程は見当たりませんでした。2026年度も、4月10日から16日の試験のあと、4月30日まで試験のない期間がありました。2027年3月に受験を考えている候補者は、早めに枠を押さえておくほうが安全です。

海外の会場で受ける場合の受験料は、国ごとに現地の通貨で決まっています。海外から人を呼ぶ宿が、候補者や送出機関と費用の話をするときの目安になります。

受験する国1号2号
インドネシア780,000ルピア1,500,000ルピア
フィリピン2,800ペソ5,600ペソ
ベトナム1,200,000ドン2,400,000ドン
ミャンマー55米ドル110米ドル
ネパール55米ドル110米ドル
スリランカ15,500ルピー30,000ルピー
タイ(税抜)1,700バーツ3,100バーツ
インド(税込)4,620ルピー9,200ルピー

(プロメトリック「国別受験料金」より作成。2026年10月16日閲覧)

申し込みは、本人がプロメトリックで予約する

申し込みの流れ自体は単純です。本人がプロメトリックのIDを作り、マイページで試験と会場と日時を選んで予約し、受験料を払います。宿や登録支援機関が手続きを手伝うことはあっても、IDは本人のものです。

つまずきの元になるのは、細かい決まりのほうです。

  • IDは1人1つです。複数のIDで受験すると、合格が取り消されます。
  • 氏名はパスポートと同じ表記で登録します。CAIPTは2026年9月28日、スペースの有無の違いで受験できなかった例が多いと注意を出しました。
  • 予約は試験日の59日前から3営業日前の23時59分までです。試験日が土日祝日なら4営業日前までになります。
  • キャンセルはできません。欠席しても受験料は返らず、締め切りのあとは日程の変更もできません。
  • 再受験は45日後からです。不合格だった場合、受験日の翌日から45日たったあとの試験日を予約します。
  • 本人確認は原本2点です。日本で受ける場合、有効期限内のパスポートと在留カードの両方の原本が要ります。支援機関に書類を預けている人は、試験日までに返してもらう必要があります。

試験の当日は、試験開始の30分前までに会場に着いている必要があります。入場は45分前から始まり、遅れると受験できません。遅刻や本人確認書類の不備で受けられなかった場合も、受験料は返金されません。いま宿で働いているスタッフが受けるなら、試験日はシフトから外し、会場までの移動時間も含めて休みにしておくのが確実です。

受験資格は、試験日に満17歳以上であること(インドネシア国籍は満18歳以上)です。国内で受ける場合は、これに加えて実施要領の定める受験資格を満たす必要があります。

2号の受験には、もう一段の準備があります。宿泊施設で複数の従業員を指導しながら、フロントや接客などの業務に2年以上従事した実務経験が要件です。勤務先が記入した実務経験証明書(直筆の署名が必要)を、プロメトリックで予約する前にCAIPTのフォームから出し、届いた申請番号を使って予約します。この証明書を書くのは宿の側です。2号を目指すスタッフがいるなら、書式を先に見ておくと慌てずに済みます。2号の要件の全体は『特定技能2号「宿泊」の要件と試験』で整理しています。

試験の中身と、求められる水準

出題は、フロント、企画と広報、接客、レストランサービス、安全衛生その他の基礎知識にわたります。問題は日本語で、漢字にはふりがなが付きます。1号は学科30問と実技6問の3択、2号は学科50問と実技20問の4択で、試験時間はどちらも60分です。国内の会場では試験中にメモを取れますが、国外の会場では取れません。

合否は、学科と実技それぞれで正答率が65%以上かどうかで決まります。片方だけ点が高くても合格にはなりません。

どのくらいの難しさを狙っているかは、実施要領に書かれています。1号は「実務経験2年以上の者が7割合格できる水準」、2号は「実務経験7年以上の者が3割合格できる水準」です。1号は現場経験のある人ならおおむね届く試験として、2号ははっきり狭き門として作られています。

学習用のテキストは、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)のサイトから無料でダウンロードできます。1号と2号の日本語版に加えて、英語版と1号のインドネシア語版、用語集もあります。過去問題やサンプル問題の公開は確認できませんでした。CBTの操作に慣れるための体験版は、プロメトリックが公開しています。

合格率と、受験が集中する冬

2025年度(2025年4月〜2026年3月)の結果は、CAIPTが2026年4月17日に公表しています。

区分受験者数合格者数合格率
1号 全体9,6506,41866.5%
1号 日本国内の会場6,0813,79062.3%
1号 インドネシア1,6081,11169.1%
1号 ミャンマー1,00384283.9%
2号 全体1345238.8%

(宿泊業技能試験センター「【2025年度】受験者・合格者・合格率発表」より作成)

月ごとに並べると、宿の採用計画に関わる動きが見えてきます。日本国内の会場の1号の受験者は、4月から11月までは月に256人から503人でした。それが12月に647人、1月に1,006人、2月に1,083人と、冬に一気に増えています。同じ時期に合格率は下がり、12月が55.0%、1月が55.4%、2月が54.2%でした。4月から9月は68〜74%台で推移していたので、差は小さくありません。

日本国内の会場(1号)受験者数合格率
2025年9月50371.6%
2025年12月64755.0%
2026年1月1,00655.4%
2026年2月1,08354.2%

(同上より作成)

なぜ冬に合格率が落ちるのかは、公表された資料からは分かりません。春の入社に間に合わせようと、準備が足りないまま受ける人が増えているのかもしれない。そう推測はできても、確かめる材料はありません。ただ、採用する側が打てる手ははっきりしています。春に入社してもらうなら、秋のうちに一度受けてもらうことです。落ちても45日後に受け直せる余裕が残ります。

なお、2026年度の受験者数と合格率は、2026年10月16日の時点では公表されていません。CAIPTがいま出しているのは、おおむね10日ごとの合格者のID一覧です。

合格から入社まで、宿の側が動く段取り

試験に受かっても、すぐには働けません。ここから先は、宿の側が動く段取りが続きます。

  1. 合否の通知:受験日から30日以内に、CAIPTから合否のメールが届きます。プロメトリックのマイページに出る合格通知書は、在留の申請には使えません。
  2. 合格証明書の申請:内定を出した企業が、CAIPTの受付フォームから申請します。続いて本人が申請し、発行手数料12,100円を振り込みます。企業と本人のどちらが払ってもかまいません。入金の確認から5営業日以内を目途に、PDFが企業に届きます。
  3. 協議会への加入:初めて特定技能外国人を受け入れる宿も、在留の申請の前に「宿泊分野特定技能協議会」に入っておく必要があります。観光庁の案内では、入会金や年会費はかかりません。
  4. 在留の申請:海外から呼ぶなら在留資格認定証明書の交付申請、国内にいる人なら在留資格の変更許可申請です。

合格証明書は企業宛てに届きますが、CAIPTは「合格証明書は本人に帰属します」としていて、在留の手続きが終わったら必ず本人に渡すよう求めています。宿が預かったままにしておく書類ではありません。

CAIPTは合格者を、おおむね10日ごとにまとめて発表しています。たとえば2026年9月11日から20日に受験した1号の合格発表は10月8日で、受験日から18日から27日後でした。内定の通知や入社日の連絡は、この発表を待ってから出すことになります。

いちばん時間がかかるのは4です。出入国在留管理庁が公表している令和8年7月許可分の実績平均では、特定技能1号の認定証明書の交付までが64.1日、在留資格の変更が処分まで59.5日でした(外食業分野を除く全国平均)。

段取り日数の目安根拠
予約から受験最短3営業日予約の締め切り
受験から合否の通知30日以内CAIPTの案内
合格証明書の発行入金から5営業日以内CAIPTの案内
在留資格の変更(国内にいる人)59.5日令和8年7月許可分の平均
認定証明書の交付(海外にいる人)64.1日同上。このあと査証の手続きと入国

(各出典より作成。2026年10月16日時点)

足し合わせると、国内にいる人で受験から入社まで3か月あまり。海外から呼ぶなら、査証の手続きと渡航が加わるので、さらに長く見込むことになります。4月に入社してもらうなら、遅くとも年内には受験を終えておきたい計算です。冬に受験者が増えて合格率が下がることを考えると、秋の受験がいっそう効いてきます。

受験から入社までの4つの段取りをまとめた図。予約=試験日の59日前から3営業日前まで予約でき、キャンセルはできず、再受験は45日後から。受験=学科と実技のそれぞれで正答率65%以上で合格、国内の受験料は1号7,700円。合格証明書=内定先の企業が申請し、発行手数料は12,100円、2026年4月30日の受験分から有効期限は5年。在留申請=約2か月で、令和8年7月許可分の平均は在留資格の変更59.5日、在留資格認定証明書64.1日。

内定から入社までの手続きの全体は、『外国人の内定から入社まで』で詳しく扱っています。協議会の位置づけを含む制度の全体は、『特定技能「宿泊」とは』にまとめています。

日本語の試験は、別に受ける

1号には、技能の試験とは別に日本語の要件があります。国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)で200点以上を取るか、日本語能力試験(JLPT)のN4以上に合格するかのどちらかです。

採用の時期から見ると、二つは使い勝手が大きく違います。JFT-BasicはCBTで、国内の受験料は10,000円です。2026年度は2か月ずつ6つの期に分けて実施され、各期の日程は前の期のうちに発表されます。JLPTは年2回の紙の試験で、2026年の第2回は12月6日です。この回の国内の申込受付は9月にすでに終わっていて、結果が出るのも年が明けてからになります。春の入社に間に合わせるなら、日本語はJFT-Basicで証明するのが現実的です。

JFT-Basicは2026年8月から、結果をA1、A2.1、A2.2の3段階で判定するようになりました。特定技能1号に使えるのは、200点以上のA2.2です。A1とA2.1は、2027年4月に始まる予定の育成就労制度の段階に合わせて設けられたものです。

なお、技能実習2号を良好に修了し、同じ宿泊分野の特定技能1号に移る場合は、技能と日本語の試験が免除されます。ただ、宿泊は技能実習の対象職種になった時期が遅く、この経路で移る人の数は限られています。

2026年に変わったこと:合格証明書は5年で切れる

CAIPTは2026年4月24日、合格証明書の有効期限を変えると告知しました。2026年4月30日の受験分から、有効期限は10年から5年に短くなっています。4月29日までに受験した人の合格証明書は、従来どおり10年です。観光庁の実施要領(令和6年版)には10年と書かれたままなので、手元の合格証明書で期限を確かめるのが確実です。

採用の場面では、この変化がじわりと効いてきます。数年前に合格した人を採るときは、合格証明書がまだ有効かを最初に確かめます。2026年4月30日より後に合格した人なら、期限は5年です。合格してから採用まで間が空いた人ほど、この確認を省けません。

受け入れの枠のほうには、まだ余裕があります。出入国在留管理庁の資料では、令和8年7月末の宿泊分野の1号は2,771人で、受入れ見込数14,800人に対する充足率は18.7%でした。外食業分野は枠に近づいたため、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時止まりましたが、宿泊ではこうした措置はとられていません。

受験の時期が、入社の時期を決める

試験そのものは、ほぼいつでも受けられるようになりました。だからこそ、いつ受けてもらうかを宿の側が決めておかないと、入社の日はずるずると後ろにずれます。予約の締め切り、30日以内の合否通知、合格証明書の発行、2か月ほどの在留審査。逆算すると、春に入社してもらうには年内の受験が目安で、冬の混雑を避けるなら秋の受験が望ましい、ということになります。

試験の日程は年度ごとに決まります。2027年度の日程が公表されたら、この記事の表も更新します。

出典

本記事の情報は以下に基づきます。制度・統計は改定されるため、必ず各出典の最新情報をご確認ください。

あなたの宿の話を、聞かせてください。

取材を通じて、宿の魅力や工夫を一緒に発信しませんか。

取材協力について